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中小企業として計上すべき引当金は何でしょうか。今回は、一般的に計上すべきと考えられる引当金(貸倒引当金、賞与引当金、退職給付引当金)について解説していきたいと思います。
会計上、引当金として計上されるべき引当金は、以下の4要件を満たすものとされています。
実は、これに該当するものは考えれば色々ありますが、最低限、財務を重要視する中小企業が設定しておくと望ましい引当金について解説していきたいと思います。
金銭債権がある場合には、その貸倒リスクに応じて(取り立て不能見込額を)債権に対応する貸倒引当金として設定する必要があります。これらは、貸倒のリスクが極めて高い債権を個別債権とし、それ以外を一般債権として貸倒引当金を設定する必要があります。
貸倒懸念債権と破産更生債権等に分類して、対象債権の取立て不能の見込額を引当金として設定する必要があります。
他方、法人税法上は会計上の引当金と異なる基準で設定することになります。当該、法人税法上認められる貸倒引当金は、一般的には決算上も引当金を計上していることと思われますので、法人税法上の引当金に該当する債権は、個別債権として貸倒引当金を設定すべきといえます。
これに対して、法人税法上では認められていない貸倒懸念債権等のような債権に関しては、出来れば取立て不能見込額を引当設定すべきですが、それらの重要性が無い場合などにおいては、これらを計上しないことも認められると個人的には考えます。
上記個別債権以外の債権に対して、一般債権の貸倒引当金として計上すべきとなりますが、これに関しても、貸倒などが良くある会社においては実績率を算定し計上し、そうでない場合には、法人税法上の法定繰入率で計上しても構わないと個人的には考えます。
また、実績率の計算をする時も金融商品会計基準(会計上の引当金)と法人税法上の実績率の算定方法では期間のずれがありますが、これに関しても私見では、法人税法上の実績率により算定すれば十分と考えます。
なお、いずれにしても、会計処理方法として内容を注記しておくと分かりやすく、印象が良くなると考えます。
〇貸倒懸念債権及び破産更生債権等⇒法人税法上の規定にしたがい計上する。
〇一般債権 ⇒ 法人税法上の実績率若しくは、法定繰入率で計上する。
なお、引当金の処理方法に関して、注記をする。
決算で、賞与の支給対象期間が経過しており支給がまだの賞与がある場合には、その発生した期間に応じて、賞与引当金を設定することが必要になります。本来の賞与引当金は、期間に応じて厳密に計算することが必要になりますが、当該賞与引当金は一定の場合を除き、法人税法上は全額否認(認容される場合には、一般的には賞与引当金ではなく、未払金となると考えられます。)されることになると思いますので、簡便的な方法により計上することも、可能と個人的には考えます。なお、その簡便的な方法を例示すると以下の方法などがあります。
①前年(or直近)の賞与実績金額 × 経過対象期間 ÷ 賞与支給対象期間 で算定
② 上記① ÷ 実績支給時の人員 × 期末時の人員
この算定方法であれば、容易に計算が可能なため計上することが良いと考えます。
会社に退職金規定があり、かつ当該退職金を会社の財産から支給される時、退職給付引当金として引当計上する必要があります。当該引当金を計上している会社はあまりなく、これが計上されている場合には、非常に心証が良くなると個人的には考えます。その算定方法としては、以下の通りとなります。
〇決算時に皆が止めた時の規定上の退職金額 - 当該退職金に設定している基金等
ここで、会社都合退職金と自己都合退職金では大きく金額が変わることが想定されますが(会社都合の方が自己都合より大きくなる)、自己都合で計上すれば構いません。
当該退職金の算定は、一度資料を作成するのに少し手間がかかりますが、特殊な退職金規定でなければ、一般的には一度作ってしまえば、その後はそこまで手間はかからないので、計上するのが望ましいと考えます。ちなみに当該引当金に関しても一般的には法人税法上は全額否認となります。
その他の引当金に関しては、修繕引当金や製品補償引当金、工事保証損失引当金等ありますが、一部の特殊な会社を除き、必ずしも計上の必要が無いと個人的には考えます。なお、引当金とは異なりますが資産除去債務も同じように、装置産業等の一部の特殊な業種を除き、必ずしも必要ないと考えます。
以上