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内部統制報告制度の実務編の③ですが、今回は、財務諸表監査などの外部監査の過程でエラーが検出された場合の内部統制上の取り扱いについて、まとめて見たいと思います。
1.財務報告における内部統制報告制度と実際の監査上の指摘事項について
現在の、いわゆるJ-SOXは財務諸表(表示を含む)の妥当性を担保するために、会社がどのような統制を構築しており、運用しているかを評価するものです。他方、財務諸表監査でエラーがもし検出されたというのであれば、当たり前なのですが、その理由が内部統制の起因していない限り、内部統制上の問題になります。
つまり、財務報告における内部統制が極めて有効に機能しているというのであれば、結果である財務諸表にエラーは生じないはずであり、結果としての財務諸表にエラーが生じたのであれば、内部統制にも問題があったのではと、判断するのは当然の帰結になります。
2.監査はどこまでが内部統制の範囲となるのか
外部に公表する前に、誤りを発見し、これを開示することを阻止できれば、結果として適切な開示をしていることになります。であれば、外部監査も内部統制の一環かと思われますが、一般的には外部監査であるため、内部統制の一環とはされません。これに対して、内部監査や監査役監査によるエラーの発見は、一般的には内部統制の範囲とされます。そのため、会社の内部統制を評価する時に、監査役等を含むガバナンスの体制が適切かと評価もするし、内部監査に関しても同様の評価がなされます。これに対して、会計監査人や税務調査や他の外部監査などに関しては、内部統制の評価を行う際には評価を行いません。
3.外部監査の結果を内部統制上、評価を実施しているのか
内部統制の評価上、財務諸表監査の結果や税務調査の結果など、外部監査の結果をフォローして、内部統制上の評価に反映はされていますか?一概にはいえませんが、内部監査を実施する担当が高度な経理的な知識が無い場合などにおいて、これらの結果を、内部統制上の評価として、再評価しているかというと、・・・とされている部分が多いのではと感じます。
4.会計監査人の監査調書の体系について
我々、会計監査人の監査調書の体系としては、これらの状況を評価することが当然として求められており、法人によりそのフォーマットは異なると思いますが、内部統制監査の結果が財務諸表に与える影響を評価するのとともに、財務諸表監査の結果検出されたエラーの内部統制監査に与える影響も再度、評価をすることが必要になります。
5.内部統制監査としての外部監査への対応について
上記で述べた、会計監査人の対応と同様に、会社においても財務諸表監査や外部監査の結果で仮にエラーが検出された場合には、帰納的にその内部統制の問題点に関して分析し、評価することが必要になります。
また、現行の開示のスケジュールでは実務上、召集通知の基礎となる計算書類作成の時には検出されなかった、開示上の誤りを、有価証券報告書を作成する時には検出されるケースがあります。これに関しても、ただ、訂正するのみならず内部統制として適切な評価が必要になります。
したがって、注記等も含め、安易に訂正をすべきではなく、しかるべき誤りが検出された場合には、正しく修正することも重要ですが、それのみならず、適切な内部統制のルールにしたがい、修正を行い、内部統制上改善すべき点が無いか否か慎重に検討することが必要になります。
以上